災害拠点病院
1996年、当時の厚生省の発令によって定められた「災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関」で、下記のような機能を備えています。
- 24時間いつでも災害に緊急対応でき、被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。
- 実際に重症傷病者の受け入れ・搬送をヘリコプターなどを使用して行うことができる。
- 消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
- ヘリコプターに同乗する医師を派遣できることに加え、これらをサポートする十分な医療設備や医療体制、情報収集システムとヘリポート、 緊急車両、そして自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。
災害拠点病院は、①基幹災害拠点病院、②地域災害拠点中核病院、➂地域災害拠点病院で構成されており、基幹拠点病院は各都道府県に原則1か所以上、災害拠点中核病院は二次医療圏ごとに原則1か所以上整備されています。
東京都では、全83施設の登録があり、当院は地域災害拠点病院として機能しています。(令和5年4月1日現在)
災害時の機能と役割
ヘリコプターによる傷病者、医療物資等のピストン運送
災害拠点病院は、大規模災害発生時に、被災地からのヘリコプターなどによる傷病者の受け入れ拠点となる他、被災地外の災害拠点病院とのヘリコプターによる傷病者、医療物資等のピストン輪送を行います。また、傷病者の搬送の際には、同乗する医師を派遣できることが望ましいとされています。
被災地内の傷病者の受け入れ
災害拠点病院は、大規模災害時には、一般診療を中止し、災害時緊急受け入れ態勢をとります。また、その際、傷病者のトリアージを行います。トリアージとは、多数の傷病者を短時間に効率よく診察するために、助かる見込みのある傷病者やすぐにでも診療を開始しなければ容態が悪化してしまう重症傷病者の治療を優先するため、重症者、中等傷病者、軽症者、救命不可能に振り分けることです。必要があれば他院への転送も行います。したがって、診療の順番は傷病者が病院に到着した順番とは異なります。また軽症者の方には、中等傷病者や重症傷病者の搬送を手伝って頂くことも考えられます。
消防機関と連携した医療救護班の派遣
災害拠点病院には、大規模災害時に消防機関(緊急消防援助隊)と連携し、医師・看護師・薬剤師・事務官から構成される、医療救護班の現地派遣体制が整えられています。また、災害や事故の際にいち早く現場に駆けつけ、救命医療を提供する医療チームとして、2004年に全国ではじめて設置された東京DMAT(東京都災害派遣医療チーム)は、東京都福祉保健局が主催する隊員養成研修所で、災害現場での医療ノウハウを研修した医師、看護師、救急救命士、事務官から構成されています。