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外科について
外科では消化器、末梢血管、乳腺、呼吸器など広範囲の診療領域をカバーしています。
“スピーディーな診療” “QOLを重視した診療”をモットーに、診断から手術、化学療法、緩和ケアに至るまで、一人ひとりを丁寧に診療させて頂くよう日々努力しています。
外科で診る主な病気
消化器
胃がん・食道がん、大腸がん、肝・胆・膵がん、胆石症、痔疾患など
乳腺
乳がん、乳腺良性腫瘍、乳腺症など
末梢血管
腹部大動脈、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症など
その他
肺がん、自然気胸、そけいヘルニアなど
診療内容と特色
外科手術実績は別表に示す通りです。臓器別に整理すると、消化器、末梢血管、乳腺の順に多くなっています。
消化器外科
悪性疾患では大腸がん手術が年間119例と最も多く、内視鏡的治療を行った早期がん25例を含めると、大腸がん治療実績は年間144例でした。わが国では大腸癌が急速に増加していますが、大腸癌による死亡は定期的な検査によって100%回避できるといっても過言ではありません。当科では大腸癌の早期発見にも積極的に取り組んでおり、当科スタッフは年間3,000例を超える大腸内視鏡検査実績を有しています。
近年、早期胃がんに対するESD(内視鏡的粘膜下層隔離術)の適応が広がり、胃がんの手術そのものが減少していますが、当科での昨年度の胃がん手術は61例でした。早期胃がんに関しては先ず消化器内科でESDの適応を判断し、手術が必要と判断された症例のみ外科的切除を行っています。
良性疾患ではソケイヘルニアが最も多く、次いで胆嚢疾患(結石、ポリープ、腺筋症など)の順になっています。胆嚢摘出術に関しては90%以上に腹腔鏡手術が行われています。
末梢血管外科
血管外科については、最先端の治療方法を積極的に取り入れ、高レベルな診療を目指しております。また疾患によっては、放射線科、循環器内科、皮膚科、形成外科とも連携して診断・治療にあたっています。
動脈疾患には、腹部大動脈瘤、下肢閉塞性動脈硬化症、頚動脈狭窄症などがあります。 いずれに対しても血管内治療、手術治療、薬物療法の選択肢がありますが、それぞれの利点・欠点を考慮した上で、症例ごとに最適と思われる治療を選択しています。腹部大動脈瘤に対するステントグラフトが必要と判断された場合は、連携している大学病院に紹介させて頂いています。
下肢静脈瘤に対しては、超音波検査で診断を行い、手術創も従来と比べかなり小さくおさめることが可能になりました。手術は痛み軽減と安全性の確保のため、麻酔科管理による全身麻酔下で行うことを原則にしています。手術前日の午前中に入院していただき、手術翌日退院というスケジュールで行っています。静脈瘤に対するレーザー治療は現時点では行っていませんが、今後導入を予定しています。
透析シャントについては、自家静脈あるいは人工血管を用いた動静脈シャント作成のほか、シャントトラブルに対しては血管内治療(シャントPTA)を行ない良好な成績を収めています。穿刺し難い、流量が十分取れないなどで受診された場合、初期の段階であれば、直ちに血管超音波検査で病変を確認し、続けて血管内治療等を行うことが可能です。早期に対応することができれば、現存するシャントを少しでも長く使用することが可能になると考えております。
乳腺外科
当院では乳がんの診断(マンモグラフィー、超音波、MRIなどの画像診断および細胞診、組織診などの病理学的検査)と治療(手術、放射線治療、薬物治療)は、外科医師を中心にして、分野のまたがった医師、看護師、技師などからなる乳腺チームにより行っています。また、乳房切除後の再建を含めた美容外科的側面については形成外科とも緊密な連携をとっています。
近年わが国において乳がんは急増し、日本人女性の約12人に1人が乳がんにかかるといわれています。令和元年の乳がん・乳腺悪性腫瘍に対する手術は年間155例、良性腫瘍の手術は27例行いました。乳癌手術のうちわけは、温存手術89例、全摘66例(乳房全摘と同時に行った一次再建6例を含む)でした。センチネルリンパ節生検は色素法とRI(ラジオアイソトープ)法を併用して120例行い、うち105例では腋窩リンパ節廓清を省略しています。腋窩リンパ節廓清は41例(センチネルリンパ節生検後を含む)で施行しました。乳がんは胃がんや大腸がんと同様に早期発見・早期治療が重要です。乳房のしこりや痛み、乳頭からの分泌などの症状がある場合は、なるべく早くに当科を受診することをお勧めします。
◇症状が無い方の乳癌検診は行っておりません。
当院ドックや他施設での健診で精密検査が必要とされた方、治療や経過観察が必要な方、症状がある方の診療のみとなります。
なお、水曜日午前、土曜日午後は乳腺外来は行っていませんのでご注意ください。
◇乳腺センターの紹介ページは【こちら】