膠原病リウマチ科について
当診療科は自己免疫疾患である膠原病を含めたリウマチ性疾患を専門としております。代表的なリウマチ性疾患である関節リウマチにおいては“パラダイムシフト”と呼ばれるような診断・治療の進歩の結果、多くの方が寛解(病勢が完全に抑制された状態)となり、また場合によっては治癒まで期待できるようになっています。リウマチ性疾患は関節症状のみならず、他臓器をおかす全身性疾患でもあります。当科では他診療科と連携しながら、リウマチ性疾患のトータルマネージメントをおこなっております。
膠原病リウマチ科で診る主な病気
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、大動脈炎症候群、側頭動脈炎、多発血管炎性肉芽種症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、混合性結合組織病、強直性脊椎炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、抗リン脂質抗体症候群、痛風/偽痛風、全身性変形性関節症、シェーグレン症候群、成人スチル病、リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病、IgG4関連疾患
診療内容と特色
当診療科を訪れるきっかけとなる症状は、関節痛や関節腫脹です。それ以外にも、手の朝のこわばり、持続する発熱、レイノー現象(寒冷刺激で手指が白色・紫色に変化すること)、目や口腔の乾燥症状、上下肢の筋痛・筋力低下、顔面紅斑などの皮膚症状もリウマチ性疾患を疑わせる症状です。
当診療科で最も多い疾患は関節リウマチです。関節リウマチは多発関節痛・関節腫脹と進行性の骨破壊を特徴とする疾患です。その病態は免疫の異常を背景とした滑膜炎であり、治療も炎症の制御と免疫異常の是正が中心となります。当診療科では可能な限り来院当日に診断できるよう心がけております。関節リウマチと診断した際には、メトトレキサートを中心とした経口抗リウマチ薬の投与を開始します。経口抗リウマチ薬は、効果の発現まで1~3ヶ月かかることがあるため、その間は非ステロイド性消炎鎮痛薬や少量のステロイド薬の併用が必要となることもあります。抗リウマチ薬で効果不十分な場合で進行性の骨破壊が予想される場合には積極的に生物学的製剤の投与をおこなっております。生物学的製剤は炎症の抑制のみならず免疫異常の是正により関節リウマチ治療に革命をもたらした薬剤で、多くの患者様で寛解の誘導が可能となりました。生物学的製剤は注射製剤であること、やや高額な医療費がかかること、そして感染症の増加が懸念されることから患者様の背景などを考慮し、十分説明したうえで投与をおこなっております。また生物学的製剤が効果不十分もしくは使用困難な場合にはJAK阻害剤といった分子標的剤で寛解を積極的に目指します。関節リウマチ治療において最も大事なことは、寛解を維持し骨破壊を抑制することです。当診療科では患者様の日常生活動作を最大限維持するという治療目標をもって診療にあたっております。
関節リウマチ以外の代表的リウマチ性疾患としては、全身性エリテマトーデス(SLE)があります。SLEは不明熱、顔面紅斑、レイノー現象、関節痛、蛋白尿などの腎障害、中枢神経障害や肺障害など、種々の症状をきたす全身性疾患で抗DNA抗体といった自己抗体の出現を特徴とします。SLEではステロイド薬が治療の中心となっていましたが、免疫調整薬・免疫抑制薬の進歩により、従来よりもステロイドの減量が可能となっており、場合によっては中止できることもあります。最近では有効性な生物学的製剤も登場しており、SLEにおいても今後の治療革命が期待されております。それ以外のリウマチ性疾患である強皮症や炎症性筋疾患、血管炎症候群においても有効な薬剤が続々と登場し、治療成績も向上しています。