脳血管内治療科について
脳血管内治療とは脳の病気に対し極細のカテーテル(医療用に用いられる中空の柔らかい管のこと)を用いて行う治療のことをいいます。カテーテルを主に鼠径部(足の付け根あたり)より動脈へ入れ、大血管を逆行性に進行させ頭蓋内の脳血管まで到達させます。もともと脳血管撮影検査という、脳の血管をカテーテルと造影剤を用いて撮影する検査を治療に応用したものです。
脳の病気を血管の内側から治療しますので、術中に脳に触れることなく治療を行えるため、脳に優しい手術法といえます。従来の開頭手術のような頭の皮膚を切開したり、頭蓋骨を切ったりする必要がありません。その為、手術の侵襲が少ないことや美容の面においてもメリットとなります。入院期間もおのずと短くなります。
血管内治療の歴史としては1970年代に脳の血管にカテーテルを入れて治療することが試み始められました。当初は脳の複雑な血管構造にカテーテルを入れることが困難だったようですが、優れたカテーテルの開発や技術の進歩により1990年代後半からは安全にできる治療法として認識されていきました。
脳神経領域の手術の中でも、この血管内治療は特に日進月歩の分野であり、デバイス(治療に用いるカテーテルやステントなどの機器)も次々と開発されております。実際に治療を行う医師も日々研鑽しないと取り残されてしまうのが現状です。それゆえに治療を行う医師には高度な手技を要求されることも多く、どの施設でも同じように治療できるわけではありません。熟練した医師がいる医療チーム・医療施設が必要となります。
当院では脳血管内治療専門医が3名おり、その中の2人が脳血管内治療指導医を取得しているという都内でも比類無い施設です。それゆえ、安全かつ正確な手術を提供できるとともに、新しいデバイスをどこよりも早く導入し評価する立場の施設という位置付けにあります。
脳血管内治療科で診る主な病気
血管内治療が担う脳の病気は主に出血性疾患と虚血性疾患に分類されます。出血性疾患にはくも膜下出血に代表される脳動脈瘤、脳動静脈奇形(AVM)、硬膜動静脈瘻(d-AVF)があります。虚血性疾患には頸動脈狭窄症と急性期脳主幹動脈閉塞症があります。
「脳卒中の予防のポイント」、「未破裂脳動脈瘤」についての詳しい説明は下記をクリックしてください。