精神科について

精神疾患は近年さまざまに注目を集めることが多くなっています。受診される方は病名の心配だけでなく、回復や社会復帰の道筋がわからずに不安に思う方も多いと感じます。当院は、精神科以外の科もそろっており、大きな駐車場もあることから、便利さの面からも通院希望の方が多いのですが、2021年からは精神科医1名で対応しているため初診の予約枠が足りず、1~2ヶ月お待たせすることになっており、ご不便をおかけしております。こうした事情から、原則としてはかかりつけの先生を持って頂き、当院ではかかりつけの先生から情報提供書を頂き、診断や治療のアドバイスを行うスタイルを取らせて頂いております(情報提供書がない場合は診察料以外に別途料金がかかりますのでご了承ください)。

病棟はありませんが、必要な場合には病院という特徴を活かして、頭部CT,頭部MRI,SPECT,NIRS(光トポグラフィー検査)、採血や心理検査を用いて脳の形態や血流量、身体疾患の除外を行い、より客観的な診断を早期に行うことが出来るよう努めています。

精神科で診る主な病気

当科へ診察を希望される場合には、有効な治療・検査を行い、処方の重複など危険を避けるためにも紹介状を持ってご来院くださいますようにお願いいたします。
気分の落ち込み、不眠、不安・緊張、内科で異常のない身体不調などがあらわれる病気(主にはうつ病、双極性障害、統合失調症、適応障害、パニック障害、社交不安障害、睡眠障害、神経症など)

診療内容と特色

心理療法・カウンセリングの相談と紹介

原則的には薬物による症状改善と環境調整の指導を行い、元の生活になるべく早く復帰することを目標にしていますが、さまざまな症状の背後に、自身の心の不自由さ、トラウマ、家族関係などが影響している場合があります。たいていは何度か同じパターンを繰り返していることが多く、こうした場合には保険診療の範囲だけでは対応が難しい場合があります。心理療法だけよりも薬物治療を行ったほうが良い場合もあり、自分だけの判断では決めにくいと思います。保険診療で一度初診していただくことでそのような判断やアドバイスを行うことが出来ます。有料カウンセリング(精神分析的精神療法、認知行動療法、家族療法、EMDRなど)を必要に応じて紹介します。

うつ病・双極性障害

「気分が落ち込む」「何事にも興味が持てない」「やる気が出ない」などの症状が数週間以上続く場合、いわゆる「うつ病」の場合もありますが、気分が高くなったり落ち込んだりを繰り返す「双極性感情障害」や強いストレスに対して精神・身体的不調が生じる「適応障害」の場合もあります。身体的な不調が原因で起こるうつ病もあります。症状は似ていても原因によって治療法が異なるため、早期に原因診断・適切な治療を行うために初診時には丁寧な問診、検査を行います。投薬治療のほか、主治医が必要と判断した場合に臨床心理士による心理検査や認知行動療法も並行して行います。うつ病が良くならない場合に、【光トポグラフィー検査を診断補助検査】として利用することで診断の再検討を行うことが出来ます。

パニック障害・社交不安障害・全般性不安障害

急に動悸・息苦しさ・ふるえなどが生じて強い不安を伴うパニック障害や、人前での失敗が不安で赤面・ふるえ・動悸などが現れる社交不安障害、常に漠然とした不安が続き、仕事・家庭生活に支障の出る全般性不安障害に対しては、投薬ならびに医師が必要と判断した場合、臨床心理士による認知行動療法も行っています。

統合失調症

周りが信じられなくなる、聞こえない声が聞こえる、見張られている、周りから意地悪をされるといった症状が目立ちますが、注意力が落ちる、要領が悪くなる、記憶が悪くなるといった認知機能障害で苦しむ方が多いです。投薬で幻覚や妄想が落ち着いていても意欲がなく自宅に引きこもりがちとなる場合があり、就労や社会参加のためにリハビリが必要となります。リハビリのためのデイケアや就労継続支援事業所、就労移行支援施設、ハローワークなど社会資源の利用について各機関との連携、アドバイスができます。

コンサルテーション・リエゾン

当院に入院中の方に対する医療サービスです。精神面への対応(コンサルテーション・リエゾン)を行っております。入院生活を安心して送ることが出来るように、精神的に不安定な場合に精神安定剤を使用したり、睡眠薬の調整をしたり、心理士によるカウンセリングを並行して行うこともあります。

緩和ケア

がんなどでの体の痛みや精神的なつらさを和らげるために、当院入院中にご希望のある方には、緩和ケアチームの一員として精神面への対応を行っております。

認知症

現在は紹介状のない患者さんの診察は行っておりません。物忘れの程度を調べる心理検査(認知機能検査)のほか、CT/MRI(脳の形態を調べる)を行うほかに、必要に応じてSPECT(脳の血液の流れを調べる)、レビー小体型認知症を鑑別するためのMIBGシンチグラフィーやDaTスキャンなど画像検査を行います。継続的な通院については、かかりつけ医療機関にお願いしています。

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注)当院精神科で出来ないこと

  • * うつ病の治療法であるm-ECT(修正電気けいれん療法)、rTMS(反復経頭蓋刺激療法)はできません。
  • * ADHDの治療薬であるコンサータ、ビバンセ、ナルコレプシー治療薬のリタリン、モディオダールの処方はできません。アルコール依存症に使用する減酒薬であるセリンクロの処方はできません。
  • * 統合失調症の持効性注射剤である、リスパダールコンスタ、ゼプリオンの注射はできません。エビリファイLAI、ハロマンス、フルデカシンは使用実績があります。
  • * 自閉スペクトラム症・ADHDなど幼少期~小中学校程度の年齢の子供の精神疾患の診察・治療はできません。
  • * 精神科入院治療はできません。入院が必要な場合は他院(主には東大病院、帝京大学病院、吉祥寺病院、井之頭病院、慈雲堂病院、陽和病院、東京武蔵野病院など)にご紹介します。
  • * 夜間休日の緊急対応はできません。
  • * 睡眠時無呼吸症候群の一泊入院検査はできません。(自宅で出来る簡易検査までは行います)
  • * アルコール依存症や薬物依存症の方の治療プログラムはありません。必要に応じて近隣の専門施設(慈友クリニック、アパリクリニック、井の頭病院、東京アルコールセンターなど)にご紹介します。